それから、鎧(よろい)の袖(そで)や草摺(くさずり:鎧の胴の付属具)もかなぐり捨てた。
教経は胴だけを着け、大童(おほわらは:ざんばら髪)になると、両手を大きく広げて仁王立ちになった。
あたりを払う凄みがある。
大音声を張り上げた。
「われと思はん者どもは寄つて教経と組んで生捕りにせよ。鎌倉へ下り兵衛佐(ひょうえのすけ:頼朝)にもの一詞云はんと思ふなり。寄れや寄れ」
しかし、誰ひとり近づこうとしない。
ようやく、土佐国の住人で安芸国を知行する安芸実康の子で、20人力の剛の者安芸実光(あきさねみつ)が、自分に劣らぬ郎等をひとり連れてきた。
弟の実俊(さねとし)も人並み以上の武士である。
実光は教経を見て、
「教経殿は勇猛なようだが、大したことはあるまい。たとえ背丈が十丈の鬼であろうと、われら3人で挑めば必ず勝てる。勝負だ」
というと、教経の舟に乗り移って、3人同時に斬りかかった。
教経は、真っ先に突っ込んできた実光の郎等の裾をつかむと海へ蹴り入れた。続いてかかってきた実光を左の脇に抱え、実俊を右の脇に抱えて、締め上げた。
「おまえら、死出の旅路の供をしろ」と言うなり、海へざぶんと飛び込んだ。
享年26。
いとこである教経の最期を見届けた知盛は、「見るべきほどの事は見つ。今は何をか期すべき」と覚悟を決めると、乳母子の伊賀家長を呼んだ。
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解散(11/16)~公示(12/4)~選挙&投・開票(12/16)の結果、民主党は瓦解して、安倍晋三元首相の再登板になる可能性が大きい。
まさか、「中国、何するものぞ」と核武装や徴兵制を言い出すことはないだろうが、右傾化することは間違いないだろう。
一昨日、中国では密室で、国のトップが胡錦濤氏から習近平氏に代わった。
善かれ悪しかれあちらの主席は10年つとめ、こちらの宰相は仲間からすら足を引っ張られて1年ほどで息切れする。
サミットなどの国際会議の場では、その年に就任した首相が、新人として自己紹介から始めなければならない。
しかも、翌年はまた別の顔。
外国の首脳が、わが総理をまともに相手にしなくなるのも宜なるかなである。
このことが、国際社会における日本の地位をどれだけ下げ続けていることか。