景経が振り落ろした太刀に義盛の部下は兜を真っぷたつに割られ、二の太刀で首を打ち落とされる。
それを見ていた堀親経(ちかつね)が義盛を守ろうと、隣の舟から弓を引き絞ってひゅっと放った。
内兜を射られて景経がひるんだところに、義盛が舟を添わせて乗り移り、景経を組み伏せて首をとった。
宗盛は、乳母子の景経が自分を守ろうとしてこのような最期を遂げたことを見て、何を思ったであろう。
平家方では、一門随一の剛の者、教経(のりつね)が奮戦し、もはや教経の矢面に立つ者はいなくなった。
教経は今日が最後と思い定めたか、赤地の錦の直垂に唐綾威の鎧を着、鍬形の飾りをつけた兜の緒を締め、厳めしい作りの大太刀を佩き、
24筋差した切斑の矢を背負い、重籐の弓を携えている。
矢を次々につがえて射ると、矢の数だけ源氏勢がのけぞって倒れた。
矢が尽きると、黒塗の大太刀と白柄の大長刀を両手に持って振り回し、源氏勢をなぎ倒した。
知盛が、教経のところへ使者を送った。
「あまり罪作りなことをしなさんな。そなたに相応しい相手か」
「さては義経と組めということか」
教経は知盛の伝言をそう解釈したが、義経の顔を知らない。
源氏方の舟を何艘か乗り移っているうちに、立派な甲冑を着けている武者を見つけた。
「こいつが義経か」と目星をつけて飛びかかる。
義経は敵わないと思ったか、長刀を脇に挟んで、2丈(約6m)ほど離れた味方の舟に、一気に跳んで逃げた。
世にいう、「義経の八艘跳び」である。
一方、教経は堂々たる体躯の持ち主。
身軽でも敏捷でもなく、義経を追うことはしなかった。
大太刀と大長刀を海へ投げ入れ、兜も脱いで捨てた。
『平家物語』とは筋立ても登場人物も違うようですが……。
知盛と教経と資盛のごった煮。
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