
義経は、「捨ておけぬ」と伊勢義盛と佐藤忠信を前に立て、後藤実基・基清父子と金子家忠・親範兄弟を左右に立て、田代信綱を後ろにつけて、
80余騎で雄叫びを上げながら平家勢に突撃した。
平家方はほとんどが徒武者(かちむしゃ:歩兵)、馬に蹴られまいと急いで船に戻った。
歩兵に騎馬で突撃した義経勢は勝ちに乗じて、馬の腹が浸かるほど海に入って攻め込んだ。
平家方は船の中から熊手を持ってきて、義経の兜の錣(しころ: 兜の鉢の左右・後方につけて垂らし、首から襟の防御とする札)に引っ掛けようとする。
義経の郎党らが太刀や長刀の切っ先で熊手を払いのけながら戦っている際、義経はどうしたことか弓を海に落とした。
義経が海面を見たままうつむいて鞭で弓を拾おうとしているので、郎党らは、「弓などお捨てなされ。命が危のうござる」と大きな声をかけた。
やっと義経が弓を拾い上げて戻ってくると、郎党らはあきれ顔でいう。
「どれだけ貴重な弓であっても、命には代えられません」
「弓が惜しくて拾ったのではない。叔父為朝が使っていたような強弓ならば、わざとでも落として敵に拾わせるだろう。
私の弱い弓を平家が拾って、『これが、義経の弓なのか』とあざ笑われるのが悔しいから、命に代えても拾ったのだ」
郎党らは、義経の心がけに感じいった。
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これはさほど胡錦濤個人を攻撃したものではないし、チベット問題の概略を理解するのに相応しいのではないかと思って載せました。
チベット人のやむにやまれぬ「命がけの抵抗」を、「暴動」と呼んで欲しくないものです。