織田信秀木像
自分と初めて対面するするために聖徳寺にやってくる馬上の信長が、噂どおりの奇妙奇天烈な風体で行列を率いているのをみた道三は、これで尾張はいずれ俺のものだとほくそ笑んだ。
だが聖徳寺で信長と対座したとき、道三は度肝を抜かれる。
髪かたちと服装を整えた信長が、威儀を正して思いもかけぬ端正な姿で現われたのだ。
下克上の世に、一介の油商人から美濃の国主に成り上がった百戦錬磨の蝮(まむし)が、若い信長の気品に気後れした。
しかも、槍も弓も鉄砲も美濃方が見劣りしている。
戦術面においても、婿殿は並々ならぬ才幹を秘めているようだ。
道三は信長の大器量を認めざるを得ず、いずれ自分の息子たちが信長の軍門に降ることになるだろうと予感せざるを得なかった。
少年の頃からすでに、信長は非凡な創造力と行動力をあわせ持ち、自主独立の精神を確立していたのである。
日々の明け暮れの中で、知らず知らずのうちに、時代の一歩先を見通す素地を作り上げていたのだ。
だが、信長が18歳のとき、織田家で孤立していた彼の保護者であり、最大の理解者であった父・信秀が、流行の病にかかって死んだ。
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夢まぼろしの如く ③気後れした道三
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