維盛兄弟が宗盛一行に追いついた場面 …… …… 左手前、黒毛馬の宗盛と相対する維盛
維盛たちは、一足先に都落ちしている宗盛一行に追いつこうと馬を飛ばした。
残された建春門院新大納言は、「長年連れ添った維盛様が、これほどに薄情な方とは思わなかった」と、泣き伏した。
六代と夜叉、女房たちは御簾 (みす) の外へ転がり出て、あたりはばからず声を限りにわめき叫ぶ。
幼い子供たちにも、父親に2度と会えないということが分かっていたのだろうか。切ない話ではある。
子供たちの悲鳴にも似た泣き声は、いつまでも維盛の耳の奥に突き刺さっていた。
平家一門が都を落ちるとき、六波羅・池殿・小松殿・八条・西八条などの邸20余箇所や従者たちの屋敷、そして京白河辺の4、5万軒の民家に火をかけて焼き払っている。
維盛兄弟は、淀の六田河原で宗盛一行に追いついた。
小松家の甥たちの顔をみて、宗盛はほっとした顔を見せた。
というのは、つい先刻、叔父の頼盛が心変わりして、都へ引き返したのである。
平治の乱後、母の池禅尼 (いけのぜんに) が夫清盛に助命嘆願して、頼朝を助けていた縁にすがろうとしたのだ。
維盛の異母弟資盛が関わった事件→平重盛②殿下乗合事件
平清盛⑦嫡孫:維盛と資盛 甥:敦盛
権大納言に返り咲くなど、頼盛は生涯、厚遇されている。
頼盛のことがあって、もしや小松家の面々はやって来ないのではないかと宗盛が不安になりかけていたころ、維盛たちが姿を見せたのだった。
「どうして、こんなに遅れたのですか」
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平家物語の群像 維盛⑭池殿・頼盛の裏切り
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