コロンブスの塔のライトアップ
プロレスラーまがいの巨漢の脅しにも折れなかったら6番目だが、幸い三太郎は6番目を知らない。
暴力を振るわれたのだろうか。
暴力、監禁、殺害、闇から闇へ、2度と母国の土を踏むことは……。
ここで脅迫に挫けては、2時間近く粘り通してきたことが水の泡だ。
三太郎は懸命に平静を装いながら、店長を見据え、抑えた声でいった。
「こんなことでは、いつまで経っても埒があかない。残念だが、警察に黒白をつけてもらうほかに手立てはなさそうだ。電話を貸してほしい」
立ち上がって電話機に向かう三太郎を、店長もすぐに立ち上がり、両手を広げて制した。
「ちょっと待って、こうしよう。今ここで、1万円だけ払って下さい。残りの17万円は、あなたの泊まっているホテルへあとで届けます。受け取ったらすぐに銀行で振り込んで下さい」
ラテン系の国で、こんなに警察の威力が大きいとは思わなかった。
意外だったが、有り難いことである。
三太郎はふたたびバルセロナの街へ出ると、大きく背伸びして、『聖ファミリア教会』の方へ歩き出した。
ホテルに請求書が届くことはなかったが、この日を境に、三太郎は、ウインドウに並んでいる商品に値段の書かれていないレストランには入らないことにした。
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だて男 ⑮警察に黒白をつけてもらおう
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