平清盛日招像 広島県呉市警固屋
「清盛入道が恐ろしいことを口にされていることを、仲国様もご存じでしょう。私はどうなろうと構いません。
ただ、私のために帝の身にもし何かあればと心配になり、夕闇にまぎれてひそかに内裏を抜け出しました」
今はこのような暮らしをしております。明朝、大原へ発ちます。
「それで最後の夜の名残りに、この家の女主人が、
『夜も更けました。だれかに聞かれることもないでしょう』
と琴を弾くよう勧めるので、私もやはり懐かしく久しぶりに弾いていたところを、仲国様に気づかれました」
小督は涙をこらえようともせずに話す。
「明朝、大原へ発つということは出家なさるつもりか。それはまずい。帝の気持ちはどうなる。出家はだめだ」
(原文) 明日よりは大原の奥へ思し召し立つ事と候ふは定めて御様などもや変へさせ給ひ候はんずらん 然るべうも候はず さて君をば何とかし参らせ給ふべき 努々叶ひ候ふまじ
仲国は供の者に、「絶対に、小督殿をここから出すな」 と命じて急ぎ内裏へ戻った。
東の空は、すでに白みはじめている。
「帝は、寝所にお入りになっているだろう」 と思いつつ紫宸殿へ向かうと、高倉天皇はまだ昨晩と同じ場所に座っていた。
小督からの手紙を渡した。
大河 『平清盛』 の視聴率が異常に低い要因の一つは、登場人物が多いからだそうですね。しかも名前に馴染みがない上に、よく似ている。そこで記憶力アップですが、約11分、試してみるのも一興かもしれません。但し、身につくか否か責任はもてません。私は、これで健忘症になりました。
高倉は喜びのあまり、「では、今夜すぐに連れてまいれ」
仲国は、清盛の耳にはいるのが恐ろしいが、天皇の命令なので、雑色、牛飼、牛車に至るまできれいに仕立てて、再び嵯峨へ向かった。
小督は内裏には戻りたくないと言い張ったが、あれやこれやなだめすかして牛車に乗せ、内裏へ連れ戻すと、人目につかないところに隠しておいた。
ほどなく、女の子が生まれた。範子内親王 (坊門女院) である。
中宮徳子には、まだ子はない。
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