源氏物語名場面
玉鬘 壱伍
長谷寺本堂遠望
『真言宗豊山ぶさん派』総本山
西国三十三所第8番札所
奈良県桜井市初瀬
大和と伊勢を
結ぶ『初瀬街道』を見下ろす
初瀬山の中腹に【本堂】が建っている。
◆
石山寺と長谷寺
道綱の母『蜻蛉日記』
清少納言『枕草子』 紫式部『源氏物語』
菅原孝標女『更級日記』
などの女流古典文学作品に登場する。
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少しずつ解きほぐれてくると
右近は
玉鬘の居所を早く知りたいと気が急いて
三条を呼んだが
三条は食事中でなかなかやって来ない。
ひどく憎らしく思ったが、
それは右近の勝手というものである。
やっと、やって来た。
■
右近が京ことばで玉鬘の居所を尋ねると
三条
「何を仰っておられるのか分かりません。
20年近く
筑紫で過ごした下衆のわたしを
都の方がご存知のはずがありません。
人違いでございましょう」
話がつながらない。
「わたしの顔をよ~く見て」
右近が顔を近づけると
三条は驚いた様子で手を叩いた。
■
「あら、右近さまではございませんか。
どちらからお参りに来られたのですか。
夕顔さまも、ご一緒ですか」
三条は
思いが溢れて声を上げて泣き出した。
三条の気持ちが収まるのを待って、
右近がたずねる。
「乳母さまも、ご一緒ですか。
姫君/玉鬘は、お元気ですか」
ただ
右近は夕顔のことを口にしなかった。
三条
「姫君は立派に成人されました。
乳母さまに右近さまが
いらっしゃることをお知らせします」
乳母の驚くまいことか。