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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 那須与一⑥舟は揺り上げ 揺り据ゑ漂へば

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$吉備路残照△古代ロマン-与一太鼓 与一太鼓 大田原市

死者を手厚く葬った大八郎は、いくつかの首を鎌倉に送り、「平家の残党は残らず討ち取りました。私はしばらく日向にとどまって様子をさぐります」と頼朝に書面で報告した。

「源氏方にも、こんなに心やさしい武士がいたのか」

落人たちは、大八郎に深く感謝した。

下野国の那須で育った大八郎は畑仕事にくわしく、都育ちの落人たちに焼畑の方法を教えた。

他にも、落人たちのためにいろいろ心を砕いたという。

やがて大八郎のそばに、鶴富という若くて美しい娘が仕えるようになった。

そして、いつとはなしにお互いの心が通い合うようになった。

「似合いの夫婦じゃ」

谷川のほとりや山路を寄り添って歩く二人の楽しそうな様子をみて、落人たちは心ひそかに祝福していた。

大八郎は年老いた父母と病床に臥せっている兄与一のことが気にはなったが、鶴富と別れるに忍びず、生涯を椎葉で暮らしたいと思うようになっていた。

          ……       ……

○矢ごろ少し遠かりければ、海へ一段(いつたん 11m)ばかりうち入れたれども、なほ扇のあはひ七段ばかりはあるらんとこそ見えたりけれ。

矢を射るには少し遠かったため、与一は馬を海へ一段ばかり乗り入れたが、それでもまだ七段ほどあるだろうと見えた。

○ころは二月十八日の、酉(とり)の刻ばかりのことなるに、をりふし北風激しくて、磯打つ波も高かりけり。舟は揺り上げ揺り据ゑ漂へば、扇も串に定まらずひらめいたり。

2月18日の午後6時ごろで、折りしも北風が激しく、磯に打ち寄せる波も高かった。舟は上下に揺れながら漂い、扇も棹の先に固定せずひらひらしている。

○沖には平家、船を一面に並べて見物す。陸(くが)には源氏、くつばみを並べてこれを見る。いづれもいづれも晴れならずといふことぞなき。

沖では平家が船を並べて、陸では源氏が馬を並べて見物している。源平双方、まことに晴れがましい情景である。

    …… 原文に忠実な訳ではありません ……


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