源氏物語
41帖 幻
源氏52 夕霧31 明石の君43
明石中宮24 匂宮6 薫5
ホトトギス 花たちばな
夕霧、
「父上、紫の上の一周忌が近づいて参りました。
御法事は、どのようになさいますか」
源氏、
「私としては、特別なことはせず紫の上が望んでいた《極楽曼陀羅》を供養するつもりだ。
ただ僧都にはもっと詳しく伝えていたようだから、とにかく僧都の言葉に従って執り行おう」
源氏、
○ なき人を しのぶる宵の 村雨に
濡れてや来つる 山ほととぎす
亡き人(紫の上)を偲ぶ今宵の通り雨に
濡れてきたのか、山ほととぎすよ
夕霧、
○ ほととぎす 君につてなむ 故郷の
花たちばなは 今ぞさかりと
ほととぎすよ、あの方(紫の上)に伝えたい、
故郷の橘の花は今が盛りですよと
七夕恒例の《管弦の宴》は今年は催さずひっそりと過ごした。
源氏、
○ 七夕の 逢瀬は雲の よそに見て
別れの庭に 露ぞおきそふ
七夕の逢瀬は雲の上の別世界のことと見て、
その後朝の別れの庭の露に涙を添えることよ
紫の上の命日である十四日には、【六条院】の人々は*精進潔斎して、『極楽曼陀羅』の供養に参列した。
*精進潔斎しょうじんけっさい 肉と酒を断ち、心身を清めること
秋になり紫の上の一周忌の法要が過ぎても、源氏は相変わらず物思いに沈んでボンヤリとした日々を過ごしている。
名作映画案内126
原題*Nomadland ノマドランド
2020年公開
監督*クロエ・ジャオ
主演*フランシス・マクドーマンド/ファーン
★
60代の女性ファーンは
リーマンショックによる企業
倒産の影響で住み慣れた家を失う。
キャンピングカーに全てを
詰め込んだ彼女は現代のノマド(遊牧民)として、
過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送る。
毎日を懸命に乗り越えながら行く
先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね
誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。
108分