源氏物語
37帖横笛
光源氏49 紫の上41 入道の宮23 夕霧28
明石女御21 雲井の雁30 落葉の宮25
薫1柏木*入道の宮 匂宮2今上帝*明石女御
日本で
琴と称される楽器は5種類。
①琴きんの琴こと
中国伝来の琴で、最も格式が高く奏法も難しい。
②箏そうの琴こと ③和琴わごん
④一絃琴いちげんきん ⑤二絃琴にげんきん
亡き柏木の遺言もあり、夕霧は折につけて【一条邸】に落葉の宮を訪ねているが、まず母親の一条御息所と対面して柏木の思い出などを語り合うのが通例になっている。
柏木は「和琴」の手練れだったゆえ落葉の宮も「和琴」の演奏に秀でているだろうとも思い、夕霧は「琵琶」を手元に引き寄せて《想夫恋》を気持ち良さそうに奏でた。
そして御簾の中の落葉の宮に、
「柏木の君を偲んで、ご一緒に《想夫恋》を合奏しませんか」
しばらく待っても、返事がない。
○ 言に出でて 言はぬも言ふに まさるとは
人に恥ぢたる けしきをぞ見る
言葉にしておっしゃらないのは言葉で言うよりも、
より深い思いがおありだからとお察しします。
恥ずかしそうな、そのご様子から。
夫・柏木を亡くしたばかりの落葉の宮にすれば、身につまされる楽曲である。
曲の終わりの方をほんの少し弾いた。
○ 深き夜の あはればかりは 聞きわけど
琴よりほかに えやは言ひける
貴方の琵琶の音色に深い夜の悲しみは聞き分けても
琴を弾くより他にどんなことを言えましょう
「あまり長居すると、故人が嫉妬するかもしれない」
夕霧が後ろ髪を引かれる思いで【一条邸】を退出するとき、一条御息所から柏木遺愛の「横笛」をいただいた。
自邸に戻ると格子は全て閉じられ、子供たちはそれぞれの寝相で転がっている。
名作映画案内74
雨月物語
1953年公開
原作*上田秋成『雨月物語』の「浅茅が原」と「蛇性の淫」
モーパッサン『勲章』
脚本*川口松太郎 依田義賢
監督*溝口健二
主演*京マチ子/若狭 森雅之/源十郎
小沢栄太郎/藤兵衛
★
時は戦国
陶工として荒稼ぎを狙う源十郎と
侍として立身を夢見る義弟の藤兵衛は
家族を連れて舟で琵琶湖を渡り都を目指す。
しかし、
源十郎の妻子は都の戦火を怖れて引き返し
藤兵衛は妻と別れて羽柴秀吉勢に紛れ込んだ。
源十郎は若狭と名乗る妖艶な美女から
陶器の注文を受け彼女の屋敷を訪れる--。
96分