源氏物語
35帖若菜下
源氏41~47 紫の上33~39 女三宮15~21 夕霧20~26
明石の君32~38 明石女御13~19 柏木:25~31 冷泉帝23~29
当時、
身分の高い女性が
自分の姿を人目にさらすことは
たとえそれが不慮の出来事であっても
甚だしく不用意で嗜みを欠くことであった。
ちなみに
あの紫の上も野分の突風に御簾を吹き
上げられて一瞬、夕霧に顔を見られている。
源氏が自分の経験上もっとも恐れていたことだ。
柏木、
「私たちは前世からの逆らいようのない深い因縁で結ばれているのだとお考え下さい。
我ながら、正気の沙汰とは思えません」
それから柏木は、あの春の夕方、駆け回っている猫が御簾の裾を捲り上げて女三宮の立ち姿を露わにした出来事を話した。
男たちに姿をさらすことは、身分が高ければ高いほど恥ずかしいことであり嗜みに欠けることであった。
たとえ、それが不慮の出来事であったとしても。
女宮はそんなことが確かにあったと自分が情けなかったが、もともと身分の高い女性に求められる素養に欠けている。
それゆえ、取り返しのつかない出来事に一度ならず見舞われるのだ。
「こんなことになって、源氏の君に合わせる顔がない」
女宮はますます不安になって、幼い子供のようにすすり泣いた。
柏木はそんな女宮が勿体なくもあり気の毒にもなって、女宮の涙をぬぐう袖はしとどに濡れた。
夜がようやく明けようとしているが、柏木は長年の思いを遂げた結果かえって切なさに身をさいなまれていた。
名作映画案内⑥
BEN HUR/ベン・ハー
1959年
3時間42分
原作*ルー・ウォーレス
監督*ウィリアム・ワイラー (ローマの休日)
主演*チャールトン・ヘストン
ローマ帝国支配下のエルサレムに生まれた
ユダヤ人貴族の息子ベン・ハーの半生をイエス・キリスト
の生涯と絡ませて描いた迫力満点の長編歴史スペクタクル。
1959年アカデミー賞
作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞
ほか最多の11部門受賞。
後に「タイタニック」、
「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」が並ぶ。