源氏物語
35帖若菜下
源氏:41~47 紫の上33~39 女三宮15~21 夕霧20~26
明石の君:32~38 明石女御:13~19 柏木:25~31
髭黒左大将36~42 玉鬘27~33 冷泉帝23~29
女楽四重奏
紫の上
和琴を爪弾く紫の上(39歳)
明石の君
琵琶を奏でる明石の君(38歳)
三人目は、紫の上。
源氏が、自分の理想の女性に育てようと幼い若紫を北山(鞍馬山)から無理矢理【二条院】に連れてきて早や30年余。
もはや若くはないが、紫の上は聡明で背丈もスタイルも文句なし。
匂い立つように美しい。
花に喩えるなら桜、周りを華やかな心地よい雰囲気にする。
ふと脳裏に、歌人・与謝野鉄幹の一節が浮かんだ。
「妻をめとらば才長けて、見目麗しく情ある」
そして、明石の君。
ほかの女君と比べて身分の低い明石の君は普段どおり控え目だが、萎縮している様子はさらになく三人に少しも遜色ない。
明石女御の実母らしく、ゆったりと品よく落ち着いている。
花も実もついた花橘の枝を折り取ったときに匂い立つ、清らかな芳香のようだ。
ちなみに源氏と深く関わった数多の女君たちのなかで、現世的な意味において幸せな人生を全うしたのは明石の君だけである。
藤壺宮と紫の上をはじめ、正妻の葵の上、六条御息所、夕顔など決して幸福な一生ではなかった。
与謝野鉄幹 与謝野晶子