源氏物語
35帖若菜下
源氏:41~47 紫の上33~39 女三宮15~21 夕霧20~26
明石の君:32~38 明石女御:13~19 柏木:25~31
髭黒左大将36~42 玉鬘27~33 冷泉帝23~29
寝待の月
「月刊うちゅう」2017年9月号
陰暦19日の夜の月の異称。
18日の座して待つ居待の月よりも
月の出が少し遅いので寝て待つ月の意。
臥待ちの月とも
夜が更けるにつれて、めっきり冷え込んできた。
寝待の月がようやく顔を見せ始めたので、源氏、
「なにやら頼りない春の朧月夜だね。
秋は楽器の音色に虫の声が加わって得も言われぬ趣があるので、音色に深みが感じられるのにー」
夕霧が珍しく持論を述べた。
「雲ひとつない秋の夜は、月の光が万物をくっきりと照らしますので琴や笛の音色も冴えわたって聞こえる感じがします。
しかし時々刻々変わってゆく空の景色や秋草におく露などに気を取られて音楽に集中できません。
一方、春はどうでしょう。
春の夜の霞んだ朧月の光に静かに笛の音を吹き合わせる情趣に、秋は到底及びません。
女性は春を好むと古人の言葉にありますが、私もそう思います。
春の夕暮れこそ、いろんな楽の音がみごとに調和します」
首と手首と足首の3首を
寒気から守ることは効果的な寒さ対策だそうです。
源氏、
「そう、その春秋の優劣のことよ。
優れた先人すら決めかねた難問を、どうして末世の私たちなどに結論を出せようか。