源氏物語
35帖若菜下
源氏:41~47 紫の上33~39 女三宮15~21 夕霧20~26
明石の君:32~38 明石女御:13~19 柏木:25~31
髭黒左大将36~42 玉鬘27~33 冷泉帝23~29
日本で
琴ことと呼ばれる楽器は5種類。
①琴きんの琴こと
中国伝来の琴で、最も格式が高く奏法も難しい。
源氏が、女三宮に指南している楽器は「琴の琴」。
②箏そうの琴こと ③和琴わごん
④一絃琴いちげんきん ⑤二絃琴にげんきん
女楽四重奏
演奏する楽器は、
女三宮/琴の琴 紫の上/和琴
明石女御/筝の琴 明石の君/琵琶
年の暮れには例年、紫の上は【六条院】と【二条院】の女君たちに贈る新春の晴れ着の支度に忙しい。
源氏に、
「女三宮の上達ぶりを是非とも聞いてやってほしい」
と促されるたびに、
「年が明けましたら、ぜひ、女三宮のお琴の音色をゆっくりお聴かせいただきましょう」
と応えているうちに年が改まった。
源氏の主催による朱雀院を寿ぐ「五十の賀」は、双方の話し合いによってほぼ二月十日と決まった。
祝宴には今上帝もお越しになるので、華やかで盛大なものになろう。
その際の予行練習を兼ねて、源氏は、このところ急に腕を上げた女三宮の「琴の琴」のほかに、紫の上の「和琴」、明石女御の「筝の琴」、明石の君の「琵琶」を合わせて〈女楽四重奏〉を試みたくなった。
正月の二十日、寒空に紅梅と白梅が凛としたたたずまいで花開いている頃に、〈女楽四重奏〉を催すことにした。
当日、女三宮のいる【寝殿】に華麗な衣装に身を包んだ三人の女君が集まった。