源氏物語
第35帖若菜下
源氏:41~47 紫の上33~39 女三宮15~21 夕霧20~26
明石の君:32~38 明石女御:13~19 柏木:25~31
女三宮ではなく、小侍従がら柏木に返歌が届いた。
○ いまさらに 色にな出でそ 山桜 及ばぬ枝に 心かけきと
今さら顔色にお出しなさいますな。高嶺の花に想いを懸けるとは
「小侍従の言い分はもっともだが、物には言いようがあろう。
小侍従など介さず、直接、女三宮と言葉を交わす機会はないものだろうか」
三月末日、大勢の人々か【六条院】に押しかけた。
柏木は気が重くて二の足を踏んでいたが、女三宮がいる辺りの桜を眺めていれば気が晴れるかも知れないと出かけた。
今年は、二月に予定されていた宮中行事の「競射」が延びていた。
しかし、三月は冷泉帝の母后・藤壺尼宮の祥月に当たるので出来ない。
結局、宮中行事としての「競射」は中止となり、楽しみにしていた面々はひどく落胆した。
そんな時、【六条院】で「競射」が催されると伝え聞いて、腕に覚えのある顔ぶれが集まったのである。