源氏物語
第33帖藤裏葉
光源氏39 紫の上:31 東宮(春宮) 明石の君:30
明石の姫君:11 夕霧:18 雲居の雁:20
遣水 と 曲水の宴
毛越寺 岩手県
遣水
寝殿造で、外から水をひき入れて庭園に作った流れ
曲水の宴
庭園の曲水に沿って参会者が座り、上流から流される杯
が自分の前を通り過ぎないうちに詩歌を詠み、杯を
手に取って酒を飲んでから杯を次へ流す遊び。
『三条邸』は、子供のころの夕霧と雲井の雁が互いに淡い恋心を抱いて遊んでいた懐かしい亡き祖父母の邸宅である。
荒れ始めていた建物や庭などに全面的に手を入れ、大宮が使っていた部屋を若夫婦が暮らすにふさわしく改装した。
庭先には低木ばかり立っていたので緑陰のできる樹木に植えかえ、伸び放題になっていたススキをほどよく刈り取った。
遣水の流れが淀んでいる原因であった川面の水草や岸辺の枝葉をすっかり取り払ったので、清らかな流れが蘇った。
夕霧と雲井の雁が肩を寄せあって庭を眺めながら幼い頃の思い出話をしていると、太政大臣がひょっこり現れた。
「宮中から退出した帰りしな、紅葉が見頃だろうと思って立ち寄った」というが、新婚夫婦の様子を見に来たのであろう。
大宮が住んでいた時分はしっとりと落ち着いていて時として寂しかった三条邸が、今は明るく華やかな雰囲気になっている。
夫婦仲はとても良好で、初々しく微笑ましい。
ただ大臣の見るところ、娘の雲井の雁は飛びぬけた美人ではないが、婿の夕霧の美男ぶりは際立っている。
神無月の20日過ぎ、「六条院」に冷泉帝が行幸した。
紅葉があまりにも見事なので、帝が朱雀院(上皇/源氏の兄)に誘いの手紙を認めると、なんと上皇も姿を見せた。
帝と上皇と准太上天皇(光源氏)の*三人が一堂に会するのはまさに前代未聞のことである。
*この三人は世間的には腹違いの兄弟と思われている。
藤壺宮亡き今、〈秘密〉を知っているのは
源氏と息子の冷泉帝のみ。
〈国境を越えた源氏物語〉
サイデンステッカー(米) 著
深夜のラジオから