源氏物語
第32帖梅うめがえ枝
光源氏39 紫の上:31 東宮/春宮 明石の君:30
明石の姫君:11 夕霧:18 雲居の雁:20
麗景殿女御 蛍兵部卿宮 朝顔
秋好中宮 左大臣
葦手あしで
和歌を書くための仮名文字として発達した装飾書体。
葦の葉に似ていることから葦手と呼ばれた。
源氏は明石の姫君のために亡き母・桐壺更衣が住んでいた『桐壷』を全面的に模様替えして、入内を4月と決めた。
さまざまな調度品をきびしく吟味し、姫君が仮名書きを練習するための手本も良いものだけを用意しようと考えている。
「仮名書きの女流名手といえば、やはり朧月夜と朝顔そして紫の上であろう」
源氏は、紫の上と風流を好む公卿や能書家たちに手本を書いてくれるよう依頼した。
しかし、何といっても源氏の書き連ねた文字が、ほかのだれの文字よりも美しく流麗である。
夕霧の葦手書きも見事なもので、叔父の蛍兵部卿宮も目にするたび感心しきりである。
そのころ内大臣は雲居の雁のことが頭痛の種で、ライバルたちが娘を入内させることに躍起になっていることを他人事のように聞いていた。
というのは雲居の雁はすでに適齢期をやや過ぎているのに、まだ一人で所在なげにしているからだ。
恋人の夕霧は、あれ以来なにもいってこない。
内大臣はかつて夕霧が雲井の雁との結婚を申し込んできた時、強く反対したことを今頃になって悔いているようだ。
「今になって、こちらから折れて雲井の雁をもらって欲しいと頭を下げるのも癇に障るし、いかにも外聞が悪い。
こんなことなら、交際が発覚した時に許しておけば良かった」
深夜のラジオから
シクラメンのかほり 布施明 小椋佳