第三十一帖真木林
玉鬘十帖(玉鬘~真木林)の最終帖
光源氏37~38 紫の上29~30 蛍兵部卿宮 玉鬘23~24
内大臣40~41 秋好中宮28 夕霧16~17 明石の君:28
柏木21~22 明石の姫君9~10 髭黒大将32~33
花散里23~24 弁少将 雲井の雁 冷泉帝19~20
真木林 (髭黒の娘 系図では右下)
三日夜の餅の儀
通い始めて三日目の夜、三日夜みかよの餅が饗された。
婿は、その餅を噛み切らずに食さねばならない。
それをもって、結婚が成立した。
風俗博物館
髭黒大将はさっそく玉鬘を自邸に迎える準備をしていたが、改めて考えると、玉鬘を快く思わない北の方たちが待ち受けている。
そんな敵陣のような邸に移り住む玉鬘が気の毒でならないから、
「心を穏やかにして、波風を立てないように。
だれからも決して非難や恨みを受けないように振る舞って下さい」
などと戒めた。
実父の内大臣はかねてから内々では話していた。
「宮仕えに出るよりも大将に嫁いだ方が、私は安心だ。
玉鬘には親身になって世話をしてくれる後見人がいないからね。
出仕すれば、何かと苦労が多いことだろう」
内大臣にはもちろん、実の娘である玉鬘を支えたい気持ちはある。
しかし、
「弘徽殿女御を差しおいて、玉鬘を引き立てることはできない」
冷泉帝はどうなさるか想像すると、、
「女御や更衣たちよりも、仕方のないことだが、玉鬘は軽く扱われるだろう。
もし滅多にしかお逢い下さらなかったら、それこそ恥をかくために参内したようなものだ」
源氏は---、
「秋好中宮がいらっしゃるので、まさか中宮を蔑ろにはできないだろう」
すなわち、求婚者たちがあれほど殺到した玉鬘には、宮仕えした場合、第一に考えてくれる有力者はいないのだ。
源氏が父親代わりとして、「三日夜の祝」の儀式を執り行った様子を人伝に聞いて、内大臣は源氏の行き届いた心遣いに深く感謝した。
都中を駆けめぐった、「玉鬘は、髭黒と結ばれた」といウワサがほどなく帝の耳にもとどいた。
帝は心底驚いたが、まだ未練たらたらのようで、
「玉鬘があの髭黒と結婚したと耳にしたが、まことか。
後宮にとは言わない、女官として出仕してくれないものだろうか」
深夜のラジオから