第三十帖 藤袴
光源氏37 紫の上29 蛍兵部卿宮 玉鬘25 内大臣40
明石の姫君9 髭黒大将32 花散里23 冷泉帝19
秋好中宮28 夕霧16 明石の君:28 柏木21
律令制
律・令を基本法とする政治制度。
大宝律令と養老律令によって定められた。
古代の中央集権的政治制度及びそれに基づく政治体制。
太政官
神祇官と並ぶ二官の一つで行政の最高機関。
八省以下を統轄し、政務を処理した。
太政大臣、左・右大臣、内大臣、大納言で構成。
なお、太政大臣と内大臣は常置ではない。
葵あおい
*式部卿宮の子息の*左兵衛督はしばしば『六条院』に出入りしていたので、玉鬘が髭黒と結婚したことを聞いた時はひどくがっかりした。
左兵衛督はいきなりの初登場だが、紫の上と異母兄弟にあたる。
くだくだしく恨み言を書きつらねたあと、
○ 忘れなむと 思ふもものの 悲しきを
いかさまにして いかさまにせむ
先の蛍兵部卿宮の贈歌、
○ 朝日さす 光を見ても 玉笹の 葉分けの霜を 消たずもあらなむ
の返歌になっている。
あなたのことを忘れようと思うのに悲しみがこみ上げる。
私は一体どうしたら良いのだろうか
男君たちから届けられた手紙は、紙の色も墨の具合も焚きこめた香の匂いもそれぞれに優雅な特色があるので、女房たちは、
「姫君がどなたかに嫁がれたり宮仕えに出られたりしたら、こんなに素敵な方々が姫君のことを諦めてしまわれるのでしょうね」
「そんなことになれば、本当に寂しいことですわ」
*式部省 しきぶしょう
律令制における八省の一つ。
国家の儀式、文官の考課 (職務の勤務状態、品行の良否を調べて
太政官に上申する) 、選叙 (官を授け位を叙す) 、禄賜など人事一般
を司った。
*左兵衛督 さひょうえのかみ
左兵衛府の長官。従五位上相当
どういうつもりか、玉鬘は蛍兵部卿宮にだけ短い返事を認めた。
○ 心もて 光に向かふ 葵だに
朝おく霜を おのれやは消つ
自分から日の光に向かって花を咲かせる葵さえ
朝早くに置いた霜を自ら消すでしょうか
(まして好んでの出仕ではないわたしは貴方を忘れるものですか)
宮は、ほのかな玉鬘の筆跡を宝物のように眺めているうちに嬉しさがじわりと込み上げてきた。
第三十帖「藤袴」 完
太政官の施設跡?
平城宮跡で太政官の施設とみられる建物遺構発掘
関東と東海地方に
お住まいの方は特にご注意ください。
養生テープ