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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 祇王⑥仏も昔は凡夫なり  われらも終には仏なり

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$吉備路残照△古代ロマン-祇王寺  祇王寺 苔の庭

清盛の屋敷につくと、祇王はかつてあてがわれていた部屋より、ずっと下の身分の者がいる部屋に案内された。

そのことを伝え聞いた仏御前は、祇王が気の毒でならない。

清盛に願いでる。

「祇王さんをこちらへ通して、わたしには暇を出して下さい」

もちろん清盛は聞き入れない。


扱いのひどさに、悔しいやら情けないやらで祇王が涙をふいていると、清盛が現れた。

「 まず今様をひとつ歌うて、仏御前を慰めよ」

祇王は、何があっても逆らうまいとの覚悟でやってきた。


無念の涙をこらえながら歌った今様。

 仏も昔は凡夫なり  われらも終(つひ)には仏なり

 いずれも仏性具せる身を  隔つるのみこそ悲しけれ

(お釈迦様も昔は普通の人でした。私たちも悟りを開けば仏様になれる身。いずれ(仏御前と私)も、仏様になれる本性をそなえた人なのに、私だけが差別されるのは悲しいことです)


祇王は、後白河法皇撰『梁塵秘抄』に収められている、

 仏も昔は人なりき 我等も終には仏なり
                      
 三身仏性具せる身と 知らざりけるこそあはれなれ

という仏教歌謡の末二句を替えた。


哀切な歌声に、居並ぶ公達はみんな感涙にむせんだ。

清盛だけは、祇王の心情に無頓着、

「よく歌うた。つぎは舞いも見よう。時々来て仏を慰めよ」
 

祇王はさすがに返事もできず、涙とともに屋敷を飛び出した。



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