祇王寺 苔の庭
清盛の屋敷につくと、祇王はかつてあてがわれていた部屋より、ずっと下の身分の者がいる部屋に案内された。
そのことを伝え聞いた仏御前は、祇王が気の毒でならない。
清盛に願いでる。
「祇王さんをこちらへ通して、わたしには暇を出して下さい」
もちろん清盛は聞き入れない。
扱いのひどさに、悔しいやら情けないやらで祇王が涙をふいていると、清盛が現れた。
「 まず今様をひとつ歌うて、仏御前を慰めよ」
祇王は、何があっても逆らうまいとの覚悟でやってきた。
無念の涙をこらえながら歌った今様。
仏も昔は凡夫なり われらも終(つひ)には仏なり
いずれも仏性具せる身を 隔つるのみこそ悲しけれ
(お釈迦様も昔は普通の人でした。私たちも悟りを開けば仏様になれる身。いずれ(仏御前と私)も、仏様になれる本性をそなえた人なのに、私だけが差別されるのは悲しいことです)
祇王は、後白河法皇撰『梁塵秘抄』に収められている、
仏も昔は人なりき 我等も終には仏なり
三身仏性具せる身と 知らざりけるこそあはれなれ
という仏教歌謡の末二句を替えた。
哀切な歌声に、居並ぶ公達はみんな感涙にむせんだ。
清盛だけは、祇王の心情に無頓着、
「よく歌うた。つぎは舞いも見よう。時々来て仏を慰めよ」
祇王はさすがに返事もできず、涙とともに屋敷を飛び出した。
梁塵秘抄 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫)/後白河院
¥660
Amazon.co.jp
菊正宗 超特選 純米大吟醸平清盛 「大輪田の泊~おおわだのとまり~」720ml
¥1,980
楽天
【送料無料】 歴史のなかの神戸と平家 地域再生へのメッセージ / 歴史資料ネットワーク 【単行本】
¥1,890
楽天
↧
平家物語の群像 祇王⑥仏も昔は凡夫なり われらも終には仏なり
↧