第二十八帖 野分
光源氏36 紫の上28 蛍兵部卿宮 玉鬘24 内大臣39
秋好中宮27 夕霧15 明石の君:27 柏木20
明石の姫君8 髭黒右大将 花散里22
雲井の雁 弁少将 近江の君
秋好中宮
京都市 風俗博物館
嫉妬と恨みが重なって「生霊」となり、
源氏の正妻(葵の上)をとり殺した故六条御息所の娘。
御息所はいまわのきわに娘を源氏に託すが、
「けっして愛人の一人にはしないで下さい」
と言い残した。
源氏は遺言を守ったうえに、中宮にまで取り立てる。
御息所はきっと草葉の陰で喜んでいるだろう。
寝殿造り
源氏が自ら格子を上げたので、あまりにも近くにいた夕霧はバツが悪く、あわてて数歩かさがって控えた。
「昨夜はどうであった。
大宮は、お元気だったか」
「はい。
大宮はずいぶん涙もろくていらっしゃいました」
「もうそれほど長くはないだろうから、おまえは心から大切にお世話して差し上げなさい。
内大臣には肉親の情がないと、大宮が愚痴をこぼしておられたことがあるからなおさらだ。
たしかに内大臣は聡明で学問もあるが、情愛に欠けるところがある。
もっとも完全無欠な人間など、この世にいるものではないが」
「昨晩はひどい暴風が吹き荒れたが、中宮の【秋の御殿】には十分な男手はあったのだろうか」
源氏は、夕霧に「手紙」を預けてお見舞いに行かせた。
「夜通し吹き荒れた風の音は恐ろしくありませんでしたか。
私はあいにく体調がすぐれず、一日中、休んでおりました」
夕霧が【秋の御殿】の〈東の対〉の南側に立って〈寝殿〉の方を眺めると、二間ほど上げた格子のすき間から女房たちが見えた。
目を転じると、色とりどりの美しい衣装を着た若い女房たちがしどけなく高欄に寄りかかっている。
夕霧が小さく咳払いをして〈寝殿〉の方に歩き出すと、女房たちはさして驚いた風もなく奥の部屋に入ってしまった。
京都の歌
