祇王の歌碑 若一(にゃくいち)神社 京都
いつか、捨てられるときが来るのではないか。
祇王は、遊び女の習いとして、心の中でひそかに恐れてはいたものの、なんの予兆もなく、しかもこんな形で、突然、その時がやって来るとは。
つゆ想像していなかった。
それも、ついさっきのことである。
目通りさえ許されないままに追い返されようとした同じ白拍子の仏に情けをかけて、清盛に引き合わせたのは。
その温情ゆえに、清盛の寵愛を若い仏に奪われてしまった。
その遣る瀬ない恨みつらみは、いつまでも祇王の心をさいなみ続ける。
家に帰りつくと、そのまま倒れこんでしまった。
母親の刀自や妹の祇女が、何を語りかけても、ただただ泣き伏すばかり。
言葉を発する気力すらない。
清盛から刀自に送られていた毎月の仕送りも止められ、生活が困窮していった。
他方、仏御前に縁の者は目に見えて裕福になってゆく。
祇王が清盛の屋敷を出されたと聞きつけた男たちは、さっそく手紙や使者をよこす。
白拍子である祇王には仕事がはいったのだが、さすがに気が進まない。
来る日もくる日も、涙にくれるばかりだった。
明くる年の春、清盛からの使者がやってきた。
「参って歌うなり舞うなりして、仏御前の所在なさを慰めよ」
歌や舞いを披露して、退屈している仏御前を慰めろという。
何と無慈悲で無神経な言い草だろうか。
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