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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 祇王③心変わり

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$吉備路残照△古代ロマン-心変わり 祇王は一首、襖に書き残した

かわいい祇王のいうことならと、清盛は仏を屋敷に招き入れた。

「会う気はなかったが、祇王が是非にというから来てもらった。今様(いまよう:流行歌)の一つでも歌ってみよ」

仏は、清盛の前で今様を即興で歌った。

○君を初めて見る折は 千代も経ぬべし姫小松

    御前の池なる亀岡に 鶴こそ群れ居て遊ぶめれ

初めて拝顔の栄に浴します君(清盛)は、(とても立派な方なので、)姫小松(仏)は千年も命が延びそうです。御前(清盛)の前の池にある亀山に、鶴が群がって遊んでいるようです


仏は見目麗しい上に、歌声がうっとりするほど綺麗である。

清盛の心が動いた。

「大したものだ。舞いも一つ見てやろう」


仏はとうに古今に例のないほどの舞いの名手として、都中に知れ渡っている。

清盛は、仏のみごとな舞いに魅了された。

気持ちは、すっかり祇王から仏に移っていた。


つい先ほど、「白拍子に用はない。追い返せ」とすげなく突き放していたのが、「ずっとこの屋敷に住むがいい」

君子は豹変する、か。


仏は腕に覚えのある芸を、当代の英雄の前で披露したかっただけである。

祇王の座を奪おうという気持ちはさらさらない。

仏は辞退した。

すると清盛は、「祇王があるをはばかるか。その儀ならば祇王をこそいださめ」と祇王に屋敷を出ていくよう命じた。

祇王にとって、3年も住んだ屋敷であり名残惜しくもある。

襖に一首、書き残した。

○萌え出づるも 枯るるも同じ野辺の草 いづれか秋に逢はで果つべき

芽生えたばかりの草も枯れようとする草も、野辺の草は結局みな同じように秋になると枯れ果ててしまいます。人もまた~


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