第二十八帖 野分
光源氏36 紫の上28 蛍兵部卿宮 玉鬘24 内大臣39
秋好中宮27 夕霧15 明石の君:27 柏木20
明石の姫君8 髭黒右大将 花散里22
雲井の雁 弁少将 近江の君
光源氏 淡路の上/明石の君
長谷川一夫 京マチ子
『源氏物語』初映画化 吉村公三郎監督 1951年
簀子縁すのこえん
寝殿造りで、竹や板を間をあけ横に並べて打ちつけた縁
源氏は人の親とは見えないほど若々しく、たたずまいが優美。
紫の上は容姿端麗で、しかも女盛りの色香が夕霧のいる辺りまで匂ってくる。
そこへ、突然、渡り廊下の格子が強風に吹き飛ばされ、夕霧の立っている所が源氏たちから丸見えになった。
夕霧は咳払いをして、たった今、どこかから【春の御殿】にやって来たかのように装って「簀子縁」の方に足早に向かった。
しかし、源氏は、【冬の御殿】の明石の姫君の部屋から戻ってきたとき、「東の妻戸」が開いていたので、紫の上を夕霧に見られたのではないかと疑った。
源氏はどうしても、紫の上の美貌を夕霧に見られたくない。
なぜなら、源氏自身が若き日に、亡き母・桐壺更衣に生き写しと聞かされていた継母の藤壺宮に夢中になって、子供(のちの冷泉帝)まで成しているからだ。
それは亡き父・桐壺帝への大いなる裏切りであり、藤壺宮を生涯にわたって苦しませることになった。
紫の上(藤壺宮とうり二つ)は、夕霧にとってまさに継母である。
二人を近づけると、自分の過去の経験からして、親子二代にわたって同じ過ちを犯すのではないかと心配しているのだ。
「夕霧よ、お前はどこにいたのだ」
「三条宮邸におりました。
『これからもっと風が激しくなるだろう』と人々が話していたので、心配になって今さっき帰ってきたところです。
あちらでは大宮(夕霧の祖母)が吹きすさぶ風の音を、まるで幼い子供のように恐がっておられました。
大宮が気がかりなので、すぐに三条宮邸に参ります」
源氏物語02
Kôzaburô Yoshimura - 『Genji monogatari』 1951 VOS
京マチ子さん
2019年5月12日 心不全により死去 享年95
『源氏物語』 吉村公三郎監督 1951年
大阪の歌