二十六帖 常夏
光源氏36 紫の上28 蛍兵部卿宮 玉鬘24 内大臣39
秋好中宮27 夕霧15 明石の君:27 柏木20
明石の姫君8 髭黒右大将 花散里22
雲井の雁 弁少将
光源氏 内大臣 夕霧 柏木 弁少将
風俗博物館
光源氏 雲井の雁 夕霧
内大臣 弁少将 (近江の君) 柏木 藤侍従
源氏は、内大臣の次男・弁少将にたずねた。
「どこで誰に聞いたのか忘れましたが、内大臣が近江(福井県)で生ませた娘を捜し出して大切に世話をしておられるそうですね。
本当のことですか」
弁少将、
「取り立ててお話しするほどの事ではございません。
今年の春のころでした。
父の夢の話を人伝てに聞きつけた女が、兄の柏木に、
『申し上げたいことがございます』と名乗り出てまいりました。
兄は、『証拠があるのか』と尋ねたそうです。
私は詳しい事情は存じませんが、いまどき珍しいこととして世間の人々が噂しているようでございます。
父にとってもわが家にとっても、面目ないことでございます」
源氏はやはり噂は本当だったのかと思って、
「内大臣にはお子たちが大勢おられるのに、列から離れた雁の子までお捜しになるとは欲深いこと。
私には子どもが少ないのに、ただの一人も名乗り出てくれません。
名乗り出た姫君は無関係ではないでしょう。
内大臣は若い頃、あちらこちらと忍び歩きをしておられたから。
底まで清く澄んでいない水面に映る月は、どうしても曇るものです」
夕霧はかねて柏木に聞いているので、ほくそ笑んでいた。
弁少将と弟の藤侍従は、とても辛そうだ。
源氏が夕霧をからかって言う。
「夕霧よ、せめてそのような落し胤をもらったらどうだね。
*好きな相手に振られたという体裁の悪い評判を後世に残すよりは、その人と同じ血筋の姉妹と結ばれるのに何の不都合があろうか」
*好きな相手に振られた
夕霧と雲井の雁が内大臣によって無理やり引き離されたことを指す