帝の私的な生活空間
映画「新源氏物語」から
光源氏(市川雷蔵)&藤壺(寿美花代) 原作:川口松太郎
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急に嫌気が差して、その一枝をそっと高欄の端の方に押しやった。
源氏は、藤壺中宮が内裏(だいり)を退出するときはお供することにした。
参内(さんだい)すると、まず腹違いの兄である朱雀帝のいる清涼殿に顔をだした。
帝は母の弘徽殿大后とちがって、いつも源氏にやさしく接してくれる。
子供の頃から何くれとなく、かばってくれた。
東宮については、
「お若いのに聡明で筆跡も素晴らしく、将来がとても楽しみです。亡き桐壺院から、『本当の自分の子と思って、見守ってほしい』とご遺言を頂いておりますが、取り立てて私から何かしてあげることもありません」
帝は、「東宮は院の子」と信じている。
夜が深くなって、源氏は東宮を訪ねた。
月が、煌々と照っている。
桐壺院ご在世のころは、楽しい詩歌管弦の催しが華やかに行われたものだ。
内裏は、すっかり変わってしまった。
妙なる楽の音が、内裏のどこからか微かに聞こえてくることもない。
中宮と源氏はそれぞれの心の中で、あまりにも変わり果てた内裏のありようが寂しかった、
数日後、朧月夜(おぼろづきよ)から源氏のもとへ和歌をそえた手紙が届いた。
朱雀帝の寵愛を一身に受けているにかかわらず、受け身の愛だけでは満たされない性質らしい。
恋の道は、人それぞれである。
〇 木枯らしの 吹くにつけつつ 待ちし間に
おぼつかなさの 頃もへにけり
もう木枯らしが吹きすさんでいますが、不安な心持ちとともにお便りを待ちわびておりました
女のほうから手紙をよこすのは、よくよくのことであろう。
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救いようのない独善と言葉に対する鈍感さと。何のために談話を発表したのか全く不可解。
この「主格」を消した首相談話にもっとも客観的で厳しいのは、なんら利害関係のない欧米メディアのよう