東宮(春宮 とうぐう) 弘徽殿大后 右大臣
褄(つま)
長着の裾(すそ)の左右両端の部分
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
平家物語に先行して、「諸行無常」やら「因果応報」やらの思想が通奏低音のように全編になり響いている。
源氏が衣装の褄をそっと引いて衣擦れの音をたてると、たちまち源氏とわかる芳香が辺りに匂いわたった。
源氏がまだ邸内にいたとは思いもよらない藤壺中宮は、驚きあきれて、恐ろしさと恋しさがないまぜになった気もちで逃げようとする。
藤壷中宮 風俗博物館
先帝の后腹(きさいばら:中宮か皇后の腹から産まれた子)で第四皇女。光源氏の「初恋の人」にして「永遠の女性」
皇女ゆえ、桐壺更衣をいじめ抜いた弘徽殿女御らは手も足も出なかった
源氏が追いかけて抱きしめようとすると、中宮は身をよじってあらがうが、すぐに胸が突き刺すように痛くなり意識がなくなって、その場にうつ伏してしまった。
源氏は、中宮の様子を見るとさすがにそれ以上のことはできず、さも尊いものを扱うように抱き上げて横に寝かせる。
女房たちが近寄って来た。
そんなことがあって以来、中宮は、源氏がしばらく顔を見せないので安心な反面、もし自分に愛想をつかしていたら悲しいし心配にもなった。
源氏は、東宮の父であり後見人でもあるのだ。
自分から心が離れたら、東宮からも離れるかもしれない。
それが、一番困る。
桐壺院在世のころとは、世の中がすっかり変わっている。
自分が「中宮」であり続けていることを、あの気性の激しい弘徽殿大后はどう思っているのだろうか。
なにか恐ろしいことが起こるかもしれない。
いっそのこと右大臣から退位を迫られる前に、こちらから位を退いて出家しようかしら。
出家すれば、源氏の執拗な恋慕の情を自然な形で避けられる。
ただ、東宮をひとり宮中に残しておくことが気がかりだ。
「出家する前に一度あっておこう」
中宮が参内(さんだい)するときは、源氏がお供をするのが習わしなっていたが、今回はその気がないようだ。
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「この国では意見を持つ行為そのものが、空気が読めないってことになってしまうらしいんです」福田和香子さん
先日の「文化芸術懇話会」のメンバーといい、この礒崎陽輔首相補佐官といい、安倍さんの取り巻きにはつい「本音」をもらす正直者が多いようです。
安倍さんと側近たちのあいだでは常識なの