桐壺更衣 (こうい)
「更衣」という低い身分ながら桐壺帝の寵愛を一身に集めたため、弘徽殿女御ほかの「女御」や更衣たちに激しく嫉妬され、耐えられないほどのいじめに遭う。
そして、心労のあまり、息子の光源氏が3歳のとき、この世を去った。
源氏は、母の顔を覚えていない。
藤壷中宮
桐壺更衣を亡くしてからずっと無気力な日々を送っている帝に、女房がつげた。
「更衣さまと、瓜二つの姫宮がおられます」
これが藤壷宮であり、帝はようやく元気を取り戻す。
「亡くなられた母上は、藤壷さまと生き写しでした」
源氏は、事あるごとに女房たちに聞かされる。
繰り返し耳にするうちに、藤壷に対して懐かしい気持ちが芽生え、それが憧れとなり、いつしか恋心に変わった。
しかし、如何せん、藤壷は父帝の妻。
若紫(のちの紫の上)
やるせない思いに苦しむ源氏は、療養先の鞍馬の寺で、藤壷そっくりの幼い女の子(若紫)を見かける。
奪うようにして、若紫を二条院に引き取った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
藤壷中宮は、髪の生え際や頭のかたち、肩と背中に髪のかかった様子や匂うような美しさなど、紫の上とそっくりである。
というより、実情は逆だ。
子供のころの紫の上(若紫)が、恋しくてたまらないが会うことの叶わない藤壷女御と生き写しだったから、拉致して二条院に連れて来たのだ。
ここ数年、中宮へのつのる想いを紫の上で紛らしていたのも事実である。
ともすれば、中宮を忘れることもあった。
「ふたりは、あまりにもよく似ておられる」
源氏は、改めて紫の上に救われていると思った。
つまり、紫の上は中宮の身代わりである。
紫の上にしてみれば、中宮は叔母とはいえ気分のいいものではあるまい。
しかも、それだけには止まらない。
中宮は、源氏の亡き母・桐壺更衣の身代わりなのだ。
むろん、桐壺帝にとっても。
源氏物語は、「恋愛文学」であり「政治文学」であると評されるが、「身代わり文学」とでもいえるような要素も色濃い。
ただ、それだけでは千年の風雪に耐えることも、世界の何十もの言語に翻訳されることもあるまい。
平家物語に先行して、「諸行無常」やら「因果応報」やらの思想が通奏低音のように響いている。
原作:吉川英治 監督:溝口健二
平清盛:市川雷蔵 (光源氏も演じた)
今回は、「平家物語」をお楽しみください。
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晋三から〇〇を守れ」。実に、言い得て妙
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賢木29身代わりの恋
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