紫式部in紫式部公園 福井県武生市
「車争図屏風」 東京国立博物館
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源氏は、「車争い」の日このかた御息所が邸に引きこもっていると聞いて心が痛くなり、お見舞いに行くことにした。
久しぶりに会う御息所が痛々しくやつれている姿をみて、「無理もない」としみじみ哀れをもよおした。
「心ならずもご無沙汰していることを、お許しください」
わびる一方、左大臣家の様子を話した。
「私はそれほど心配しておりませんが、あちらの親たちが大げさに心配しているのです。それが気の毒で、せめてこういう時は外出を控えようと思っておりました。
どうか大らかなお心でお許しいただけるなら、どんなに嬉しいことでしょう」
打ち解けぬままに夜を過ごして、別れた明け方。
御息所は帰ってゆく源氏の後姿のあまりの優美さに魅了され、今さらながら未練が残った。
「やはり、伊勢に下るのをやめよう」
しかし、
「北の方に御子(夕霧)がおできになる。源氏の君はきっと、北の方おひとりに落ち着かれるに違いない。
それなのに、こうして、あてもなく待ち続ける日々は、考えるだけでもつらすぎる」
物思いに耽っていた夕暮れ、源氏から後朝(きぬぎぬ)の文だけがとどいた。
*後朝の文 男女が一夜をともにしたあと、男から女におくった手紙
源氏自身は、やってこないつもりだ。
「ここ2、3日、葵の上はすこし回復していたのですが、急に容態が悪化してひどく苦しんでおります。
どうしても、目を離すことができません」
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葵⑬後朝の文
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