スサノオ(イザナギの長男 アマテラスの弟)
イザナギが黄泉の国に着くと、イザナミが生前の可憐な姿で、出迎えてくれた。
「私は帰りたいのですが、すでに黄泉の国の食べ物を口にしたので帰れません。黄泉の国を支配している神に、特別に許しをもらってきます。それまでお待ちになって。決して、私の姿を見ないで下さい」と言い残して、奥へ入っていった。
私たちの住んでいる葦原中国(あしはらのなかつくに:地上)と、黄泉の国は行き来できるだけでなく、どうやら会話も成り立ったらしい。
だが、待てど暮らせど、イザナミは行ったきり戻ってこない。
しびれを切らしたイザナギが約束を破って奥の方をのぞいてみると、腐敗しきって異臭を放つイザナミの身体にはウジ虫が這い回り、穢れから生まれた雷神が湧き出している。
変わり果てた妻の姿に震え上がったイザナギは、一目散に逃げ帰った。
イザナミは、「よくも、わたしに恥をかかせたな!」と逆上。
配下の鬼女や雷どもに追わせたが、イザナギは苦心惨澹の末、やっとの思いで逃げ切った。
地上へ出たイザナギが、黄泉比良坂への入口を大岩で塞いでいるところに、イザナミ自身が追いついて来た。
イザナギが離別を告げると、イザナミは、「それなら今後、毎日、地上の人々を千人ずつ殺します」。
イザナギは、「ならば、私は毎日、千五百の産屋を建てよう」。
イザナギは、黄泉の国での穢(けが)れを祓(はら)うため、南九州の日向(ひむか)に向かった。
そこで、禊(みそぎ)をしているうちにたくさんの神々を産み、最後に、アマテラスとツクヨミ、そしてスサノオを産んだ。
なんのことはない。
神代(かみよ)では、男神が単身で子供を産めたようである。
イザナギとイザナミ、アマテラスとスサノオ。
日本神話界のスターたちは、それぞれのケースで、最後に産まれた神々のようだ。
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のぞきの系譜@記紀神話 イザナギとイザナミ③
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