普賢(ふげん)菩薩騎象像
(国宝、平安時代後期) 東京国立博物館蔵
・普賢菩薩、文殊(もんじゅ)菩薩とともに釈迦如来の脇侍(きょうじ・わきじ) ○釈迦三尊
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
だが、何といっても際立って醜いのは、今まで見たこともない人間離れした象のような鼻の形と長さと色である。
普賢菩薩の乗物である、あの象の長い鼻である。
つまり、馬面の女の顔の真ん中に象の鼻がついているのだ。
その鼻はあきれるほど高く盛り上がって、そのまま長くだらんと垂れ下がっている。
そして、鼻の先の方が赤く色づいている。
*紫式部はなぜ、「桐壺の巻」からずっとリアリズムを通してきたのに突然先祖 (例えば、『竹取物語』) 返りして、奇想天外で非現実的な話を挿入したのだろうか。
ひとりの女を徹底的に笑いものにして、何を言いたかったのか。
なお、「末摘花」は『源氏物語』全編の本筋との関連性はほとんどない。
また末摘花は気の毒なくらい痩せていて、肩の骨など衣装の上から痛々しく透けてみえる。
源氏は、後悔した。
どうして、こんな醜悪な女の姿をみてしまったのだろうか。
しかし、怖いもの見たさからつい繰り返し眺めてしまう。
源氏は後日、人を遣わして常陸宮邸を修理させたり末摘花やすべての女房たちに衣裳などを贈ったりした。
また、彼女らが生活に困らないよう援助の手を差し伸べる。
でも、一度も出かけることはなかった。
年の暮れに命婦(みょうぶ)が参内(さんだい)して、源氏に末摘花からの手紙をためらいながら渡した。
野暮ったい厚手の紙に、香を焚きしめている。
○唐衣 君が心の つらければ
袂はかくぞ そぼちつつのみ
あなた様のつれないお心がたまらなく辛いので、わたしの袂(たもと)はいつも涙に濡れそぼっております
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末摘花⑳先祖返り
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