源氏は小君(こぎみ)を召し抱えると、空蝉のことをあれこれ尋ねた。
また、実弟である小君の容姿や立ち居振る舞いから空蝉の顔立ちや身のこなしを想像した。
というのは、源氏がレイプまがいに空蝉と関係をもったのは夜の暗がりであり、互いの姿形はほとんど見えていないからだ。
源氏が空蝉について分かっているのは、「小柄で痩せ型」ということぐらいである。
たびたび小君に命じて空蝉へ手紙をもたせるが、空蝉からは梨の礫。
何の反応も返ってこない。
空蝉の冷たい仕打ちに、源氏の恋心はますます募った。
「逃げれば追う」
古今東西、恋愛心理の法則通り。
小君に命じた。
「姉上に会う手だてを考えてくれ」
小君は、初対面のときから源氏に憧れている。
ある日、小君が紀伊守(きいのかみ)の屋敷に出かけて様子を探ると、紀伊守は任地(和歌山)に出かけていて、女ばかりが鬼の居ぬ間よろしく寛いでいた。
夏の暑い盛りで、屋敷の襖や障子などは開け放してある。
源氏が小君の導きで幾つかの部屋を進むと、大柄な女と小柄な女が囲碁に興じていた。
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