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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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空蝉④恋の冒険

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$吉備路残照△古代ロマン-空蝉
 「空蝉(うつせみ)」の語源 十二単(じゅうにひとえ)の脱け殻

空蝉は親子ほどに年齢の離れた伊予介(いよのすけ)の後妻になっていた。


やがて夜が更け、供の者たちは酒の酔いも手伝って寝入ってしまった。

源氏は意識が冴えて、まんじりともしない。

頭中将(とうのちゅうじょ)の、「中流の女は面白い」という言葉が脳裏を去らないのだ。

その中流の女である空蝉が、同じ紀伊守の屋敷にいる。

暗闇の襖ごしに、若い女少年の声が聞こえてきた。

「どこにいるの、お姉さま」

「ここよ、小君。源氏の君はどんな方だった?」

「立派な方でした。ウワサ以上に美しい方で、まともにお顔を見られませんでした」

「そうなの。昼間の明るいうちだったら、私ものぞき見したかったわ」

どうやら、若い女は空蝉で、少年は小君らしい。


しばらくすると、また空蝉の声が聞こえてきた。

中将(女房の名前)はどこに行ったのかしら。そばに誰もいないと不安だわ」

ある女房が応えている。

「下の屋に、湯を使いに行きました。すぐに戻ります」


襖の向こうに空蝉が一人でいると思ったのか、源氏はやおら起き上がった。

そして、襖を引くとカギがかかっていないらしくすんなり開いた。

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