
藤原頼通が西方浄土に憧れて建立した
橘公長(たちばなきみなが)が太刀を振り上げると、宗盛(むねもり)は念仏を止めた。
「もう清宗(きよむね)は、斬ったのか」
公長が太刀を振り下ろすと、宗盛の首はゴロンと前に落ちた。
湛豪(たんごう)は涙にむせび、居合わせた鎌倉武士たちも泣いている。
この公長は父祖以来の平家の家人で、公長自身は生前の知盛(とももり)に仕えていた。
「時流に媚びへつらうのは人の常、とはいいながら余りにも情け知らずではないか」と人々は公長を蔑んだ。
湛豪は、清宗にも念仏を唱えるように勧めた。
清宗が、湛豪にたずねる。
「父の最期はどうでしたか」
「ご立派でした。ご安心ください」
「もうこの世に思い残すことはありません。さあ、早く」
今度は、堀景光が太刀を振りかざした。
清宗、享年16。
義経が、ふたりの首を持って京へ向かった。
都につくと、公長の指図で、部下たちが二人の亡き骸をひとつの穴に埋めた。
宗盛が死の直前に懇願していたからである。
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