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平家物語の群像 引き回し④義経の屋敷へ

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$吉備路残照△古代ロマン-後白河法皇  後白河法皇 

        「日本一の大天狗」源頼朝

後白河法皇公卿や殿上人とともに六条東洞院に車を出して、壇の浦で生け捕りにされた平家一門の引き回しを眺めていた。

法皇にとって、清盛存命のころから身近に接していた面々でもあり、さすがに一抹の同情の念を禁じ得なかった。

平家華やかなりし頃は、だれしもが一門の目にとまって声を掛けられることを願っていたものだ。

彼らの凋落した姿を見ることになろうと、だれが想像できたであろう。

時の流れのむごさに、身分の高い者も低い者もみんな涙ぐんでいる。


先年、宗盛内大臣に昇進して喜び申しの儀が執り行われた時には、花山院大納言や藤原兼雅をはじめ12人の公卿が宗盛の車に追従した。

蔵人頭の平親宗以下の殿上人16人が前駆を勤める。

それに中納言が4人、三位中将が3人続いた。

公卿も殿上人も、「今日は晴れ舞台だ」と喜んでいたものだ。


今は、猫の子一匹従っていない。


壇の浦で生け捕りにされた平家の武士20人ほどは、白い直垂を着け、馬の脊に縛り付けられて引き回されている。

同じ罪人でも、立派な車に乗せられている宗盛らとはずいぶん扱いが違う。

六条通りを東へ河原まで、そこから戻って義経の宿所である六条堀川の屋敷に入れられて、厳重に監視された。

食事がでたが、宗盛は胸が塞がって箸をつけることも出来ない。


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