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滝口入道と横笛は、生涯をかけてお互いを思いあった稀有の男と女である。
結婚こそしていないが、初恋の人が、そのまま偕老同穴 (かいろうどうけつ) の仲になったケースだ。
ふたりとも、「あなたは何のために、生まれてきたのですか」 と問われたら、
ためらいなく 「あの人を愛するため」 と答えるだろう。
今、小・中学や高校時代の同級生同士の結婚は決して少なくないが、彼らの一部こそ
平成の 「時頼と横笛」 になる可能性を秘めている。
当時、身分のある男は、正妻のほかに何人かの愛人を持つのが普通であった。
例えば、『平家物語』によって聖人君子に祭り上げられている平重盛にしても、維盛を筆頭に分かっているだけで7人の息子がいるが、それぞれ母親が異なっている。
一方、『平家』 の恋人たちといえば、私は、平資盛と建礼門院右京大夫をまず想起するが、
少なくとも右京にとって年下の資盛は初恋の相手ではない。
それどころか、「昔、式部 (紫式部)。今、右京」 と呼ばれたほどの才能に恵まれていた右京は、同時進行で、一回り以上も年上で妻子のある藤原隆信と深い関係にあったのだ。
まぁ、今日はコレでしょう。27日、卒業。衣の袖を濡らさないで下さい
右京自身が 『建礼門院右京大夫集』 において、そのことに触れている。
世間や宮廷社会から、糾弾されなかったのだろうか。
資盛のおじいちゃん (清盛) は、鬼より怖かっただろうに。
資盛が壇ノ浦で入水したことを知るや華やかな宮廷サロンを離れて洛北の大原に隠棲する右京は、横笛のイメージにつながるが、実はなかなかの発展家だったのだ。
今風にいうなら、肉食系女子か。
横笛は、ひたすら真っ直ぐに時頼である。
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平家物語の群像 横笛①偕老同穴
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