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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 維盛⑱宗盛と二位尼の疑念

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$吉備路残照△古代ロマン-横笛の恋塚  横笛の恋塚 和歌山県かつらぎ町上天野

滝口入道は俗名を斎藤滝口時頼といい、かつて重盛に仕えていた武士である。また、横笛との悲恋が映画 『瀧口入道 夢の恋塚』 (阪東妻三郎主演) と
小説 『滝口入道』 (高山樗牛) に結晶している。

13歳の時から武者所に詰めていた。

建礼門院徳子の雑仕女 (ぞうしめ:雑用係) に横笛という女がいたが、時頼は彼女をひと目見るや、好きになった。

父の茂頼がそのことを知ると、こっぴどく叱りつける。

「時めいている家の婿にして出世の道をつけてやろうと思っていたのに、つまらない女を好きになるとは何事だ」

時頼は応えた。

「人の一生はどんなに長寿だろうと70~80歳。しかも人生の盛りは20余年です。幻のような世の中で、好きでもない女と一緒になってどうするのでしょう。
しかし、横笛と連れ添えば、父上の命に背きます。きっと、仏道を目指すよい機会なのでしょう」

19歳のとき出家して、嵯峨の往生院で修行した。

伝え聞いた横笛は、「訪ねて、恨みをいおう」 と、ある夕暮れ、嵯峨へ向かった。
荒れた僧房に、時頼の念誦の声がする。

「出家しておられるようですが、お目にかかりとうございます」

時頼は人を遣って、「ここにはそんな人はいない」と追い返すと、ある僧に、「好きなまま別れた女に、この僧坊を知られました。一度は気丈に振る舞っても、次は自信がありません」

嵯峨を出て高野山へ登り、清浄心院で修行した。



維盛が、滝口入道を訪ねたのはそんな時である。

入道は維盛を見ると、「屋島をどのようにして脱出されたのですか」

「都に残してきた妻子の面影ばかり浮かんで忘れられない。その気持ちが伝わるのか、宗盛殿や二位尼殿が、私が頼盛殿のように頼朝と通じているのではないかと勘ぐっている。居心地が悪くて、離脱したのだ」

        維盛⑭池殿・頼盛の裏切り



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