源氏物語
53帖 手習
薫27~28 匂宮28~29 中の君27~28
浮舟22~23 明石中宮46~47
浮舟 匂宮
○年経とも 変はらむものか 橘の
小島の崎に 契る心は
何年たとうとも変わりません
橘の小島の崎で約束するわたしの気持ちは
○橘の 小島の色は 変はらじを
この浮舟ぞ 行方知られぬ
橘の小島の色は変わらないでも
この浮舟のようなわたしの身はどこへ行くのやら
禅師の君、
「この春頃、母尼と妹尼が長谷寺に参詣された帰り、たまたま遭遇された女君だそうです」
禅師の君は直接関わったことではないので、そのことだけを話した。
この春、初瀬に参詣して、不思議にも発見した女性だ、と聞きました」
と言って、見てないことなので、詳しくは言わない。
「興味深い話だね。どのような人であろうか。
世の中を厭って、そのような所に隠れていたのだろう。昔物語にあったような気がするね」 とおっしゃる。
かと言って詳しい消息も判らず、帰りがけに再び小野に立ち寄ることにする。
妹尼と対座した中将は単刀直入に浮舟の事を尋ね、浮舟に和歌を詠む。
恋愛ごとなど懲り懲りな浮舟は返歌などできるはずもなく、妹尼が代理で返した。
○移し植ゑて 思ひ乱れぬ 女郎花
憂き世を背く 草の庵に
その後も 中将は小野を訪ねては浮舟を口説き落とそうとするものの、肝心の浮舟は頑として言葉を交わそうともしない。
却って勤行に励み、ますます出家を望むようになってしまったのである。また月日が流れて9月になった。小野の妹尼は再び長谷寺参詣に出掛けた。浮舟にも同行を熱心に呼びかけたが、彼女は首を縦に振らなかった。 人が少なくなった小野に中将が現れる。いよいよ逃げ場がなくなった浮舟は、あろうことか普段近寄りもしない大尼君の寝室に隠れる始末。大いびきで眠る老女たちのおぞましさに耐えてまで逃げ隠れるとは、再び恋愛に身を投じるのがよほどイヤだったのであろう。 そのまま朝を迎え、大尼君たちが朝食を摂る段になっても、浮舟は気分が優れず突っ伏している。そうこうすると他の僧が現れ、横川の僧都が山を下りて病気の女一宮のために祈祷をするのだと告げ回った。ちょうどよい。僧都に頼みこんで出家させてもらおうと、浮舟は決心する。 夕刻になって僧都がやって来た。大尼君の様子を伺い、次いで浮舟から出家の訴えに耳を傾ける。どんな理由があるにせよこの若い身空で世を捨てるのは余りに勿体ないと僧都が説得するものの、浮舟の意志は固かった。僧都は訴えを受け入れ、浮舟は剃髪する。
名作映画案内
原題*The Apartment
アパ-トの鍵貸します
1960年公開
監督*ビリー・ワイルダー
主演*ジャック・レモン/バグスター
★
出世と上司へのゴマスリのため、
アパートを愛人との密会場所と
して重役に提供するバクスター。
お調子者の彼は出世街道に乗り意気揚々とするが、思いを寄せていたエレベーターガールまでもがアパートを出入りするひとりと知り、愕然とする。
125分