源氏物語
40帖 御法
源氏51 紫の上43 女二の宮27 夕霧30
雲井の雁32 明石の君42 明石中宮23
匂宮5 朱雀院53 致仕大臣/頭中将52
花散里・年齢不詳
光源氏 紫の上
『源氏物語』には3歳の時に母桐壺更衣
を亡くした源氏の〈母恋物語〉の要素がある。
4歳の時に
祖母が逝去すると父桐壺帝の特別の計らい
で母が住んでいた内裏の【桐壺】を与えられる。
その頃、
源氏は女房たちに度々聞かされた。
「藤壺宮は、母君と生き写しでございます」
母親の顔を覚えていない源氏は宮に懐かし
さを覚えていたが成長とともに恋心に変わった。
1帖《桐壺》〉
18の春、
源氏は病気療養のため北山(鞍馬山)に滞在していた。
散歩の道すがら、ある家の庭を柴垣越しに垣間見
ると上品な尼君の方へ女の子が駆けて来る。
目を凝らすと、女の子は藤壺宮と瓜二つ。
その少女(若紫)こそ後の紫の上である。
後日、
源氏は若紫を自分の〈理想の女性〉に育てよう
と当時の邸である【二条院】に強引に連れ帰った。
5帖《若紫》
つまり、
源氏の《恋路の源流》は「母の面影」である。
源流から流れ出た《恋路の本流》は、
母と生き写しの藤壺宮と、宮と瓜二つの紫の上。
藤壺宮は母の身代わり紫の上は宮の身代わりなのだ。
すなわち、
源氏の《恋路の本流》は「母の面影を追う旅」である。
本流から分かれて
《恋路の支流》である夕顔や玉鬘など数多の女君
たちと源氏との恋模様が物語を華やかに彩っている。
番外〈恋路〉
【二条院】が悲しみに沈み涙に濡れている中、当主である源氏は気を取り直して葬儀の手配を取り仕切った。
しかし翌日の本葬では、足元もふらつくほど元気がない。
両手を支えてもらいながら葬儀に参列している源氏の虚ろな姿に参列者たちは胸を詰まらせた。
紫の上に先立たれて以来、源氏はもうこの世に未練はないと思うものの今の状態では、仏門に入っても勤行に身が入らないだろうとまず心を落ち着けるべく念仏を唱える日が続いた。
どうにもこうにも寂しさは消えることなく、今日こそは出家をと思いつつも、ただ虚ろに日は流れて行くのだった。
40帖『御法』 完
名作映画案内120
午後の遺言状
1995年公開
原作*脚色*監督*新藤兼人
主演*杉村春子/森本蓉子(老女優)
津川雅彦/森本三郎(夫 物故)
音羽信子/柳川豊子(別荘の管理人)
瀬尾智美/あけみ(豊子の娘 父は森本三郎)
朝霧鏡子/豊国登美江(蓉子の旧友)
観世榮夫/豊国藤八郎(夫) 他
★
人はどう生きるか、いかに幕を引くか
蓼科高原の蓉子の別荘
老女優・森本蓉子が避暑のため別荘にやって来た。
農婦の柳川豊子が30年間、別荘を管理している。
豊子には22歳の娘・あけみがいるが
蓉子はあけみを我が子のように可愛がっている。
しかし
「あけみは、豊子と蓉子の夫・三郎との子供」
という豊子の爆弾発言に蓉子は心中を掻き乱される。
112分
撮影直前に
新藤監督の妻・乙羽信子に
肝臓癌が見つかり余命1年半と診断された。
病を治療しながら撮影に挑むが
「女優として死ねるのであれば本望」。
クランクアップして約3ヵ月後に亡くなった。