源氏物語
35帖若菜下
源氏:41~47 紫の上33~39 女三宮15~21 夕霧20~26
明石の君:32~38 明石女御:13~19 柏木:25~31㊷
髭黒左大将36~42 玉鬘27~33 冷泉帝23
映画『源氏物語』
1951年
『源氏物語』初の映像化作品
長谷川一夫 音羽信子 京マチ子
光源氏 紫の上 淡路の上(明石の君)
悲嘆に暮れている源氏は、試みに場所を変えてみようと思い立って、紫の上を【二条院】に移すことにした。
【六条院】は、上を下への大騒ぎ。
嘆き悲しむ女房たちのすすり泣きが至る所から聞こえてくる。
冷泉院も、紫の上の容体が思わしくないことを伝え聞いてひどく心配しているようだ。
夕霧は早くから源氏とともに紫の上の看病にあたっている。
「もし紫の上がお亡くなりになれば、父君はすぐに出家なさるだろう」
紫の上は気分が確かなときは誰にいうともなく、
「仏門に入ることを、どうしても光君がお許し下さらなくて--」
一方、源氏は、紫の上の寿命が尽きて永別することよりも出家して変わり果てた尼姿を見ることが辛いので、
「昔から私の方が出家の願いは強かったのに、一人になったあなたがどんなに寂しいだろうと思って今まで出家しなかったのです。
これまで何度も申し上げました。
それなのに、あなたは私を捨てて出家したいのですか」
そんなやりとりを何日か繰り返すうちに、紫の上はもう長くはないだろうと諦めざるを得ないほど衰弱していった。