源氏物語
35帖若菜下
源氏:41~47 紫の上33~39 女三宮15~21 夕霧20~26
明石の君:32~38 明石女御:13~19 柏木:25~31
髭黒左大将36~42 玉鬘27~33 冷泉帝23~29
飛んでゆくほうを眺める若紫」
伝・土佐光起筆『源氏物語画帖』から
尼君や侍女がいる。
左隅に
北山の僧都の僧房を垣間見る光源氏。
源氏と紫の上の出会いの場面。
☆
若紫を垣間見ると藤壺宮と瓜二つ、
数日後、自分の理想の女性に育てるため、
無理やり当時の邸、【二条院】に連れて帰った。
(拉致です)
紫の上はいったん言葉を呑み込んだあと、意を決して
「わたしはもう、長くはない心地がしております。
これからも、ずっとこれまでと同じような日々が続くのかと思うと虚しくてなりません。
何度もお願いしてきたことですが、どうか出家することをお許しください」
源氏、
「もってのほかです。
あなたが先にこの邸を出て行かれたら、私は一体どうすれば良いのでしょう。
今のように何ということもなく月日が過ぎてゆく中で、朝に夕に顔を合わせる以上の喜びはありません。
あなたを思う私の気持ちがどれほど深いか、是非、お分かりください」
「また、いつものようなことを--」
紫の上が情けなくて涙ぐんでいると、源氏が愛おしそうに慰めの言葉をかけてきた。
源氏の慰めの言葉、
「私はそれほど多くの女君を知りませんが、私の知る範囲では、人柄にはそれぞれ長所もあれば短所もあります。
本当に気立てが良くて大らかな女君は、なかなかいません。
遠い昔、元服した日に夕霧の母親(葵の上)と結婚したとき、妻として大事にしなければと思いましたが、どうしても夫婦仲がうまくいきませんでした。
打ち解けないまま、葵の上は亡くなってしまいました。
今思うと、気の毒でなりません。
紫式部が、
『源氏物語』を著した頃
知識層の精神的な拠り所は
源信僧都の『往生要集』でした。
〈宇治十帖〉に高僧(源信)が登場します。
蛇足
①『平家物語』では、
平重衡など平氏の公達が多く法然に帰依する。
②平清盛の嫡孫・維盛の愛称は「光源氏の再来」。