源氏物語
35帖若菜下
源氏:41～47 紫の上33～39 女三宮15～21 夕霧20～26
明石の君:32～38 明石女御:13～19 柏木:25～31
髭黒左大将36～42 玉鬘27～33 冷泉帝23～29
鈍感な源氏は自己満足に陥って
紫の上の悲痛な心の叫びを分かろうともしない。
紫の上がいかに幸せな境遇かを源氏は強調する。
「入内すれば、実家の繁栄のために数多のライバルたちと帝の寵愛を争うことになり決して心が安らぐことはありません。
あなたの場合はどうでしょう。
私の庇護のもと、何の心配も苦労もライバルとの争いもない深窓でのんびりと暮らしてこられました。
これ以上、幸せな生活はありません。
聡明なあなたのこと、ご自分がいかに幸運な星の下に生まれたかということをよく分かっておられましょう。
ただ女三宮が突然お輿入れになられた時は、さぞかしお辛かったと思います。
しかし、そのために私のあなたへの愛情がいっそう深くなりました。
ご自分のことですから、お気づきではないかも知れませんが--」
紫の上、
「わたしのような者には身に余る幸運と思っておられるようですが、わたしの心にはもう堪えきれないほどの悲しみが宿っております。
どうしても、仏門に入りとうございます」
紫の上はいったん言葉を呑み込んでから、意を決して
悲愴
悲しく痛ましい