源氏物語
35帖若菜下
源氏:41～47 紫の上33～39 女三宮15～21 夕霧20～26
明石の君:32～38 明石女御:13～19 柏木:25～31
髭黒左大将36～42 玉鬘27～33 冷泉帝23～29
光源氏 紫の上 明石女御
源氏と明石の君
の間に生まれた明石姫君は
将来を考えて紫の上の養女になった。
姫君は「女御」として入内、
今上帝との間に皇子・皇女を儲けて
「中宮」となり明石一族に繁栄をもたらす。
祖父・明石入道の大いなる悲願を成就する。
明石一族
源氏、紫の上に
「女三宮の〈琴の琴〉の音色は、如何でしたか」
「ずいぶん、お上手でした。
先だってから、光君が熱心に教えておられたから当然ですわね」
「琴の琴〉はとりわけ難しく、習得するのに相当時間がかかります。
子供の頃のあなたや明石女御のお世話をしていた時期は、私は朝廷のお仕事に忙殺されておりました。
ですから、お二人には十分にお相手する余裕がありませんでした。
先日、朱雀院と今上帝が、
『源氏の君はきっと、女三宮に〈琴の琴〉を教えておられるだろう』
と話しておられたとお聞きしたので、後見人としてそれ位のことはして差し上げようと思い立ったのです」
続けて、
「あなたには音楽などを心ゆくまで教えて差し上げることが叶いませんでした。
そういう負い目があるので、昨日のあなたの爪弾く〈和琴〉と〈筝の琴〉の音色の美しさには面目を施したものです。
しかも、夕霧がとても感動していたので私は嬉しくなりました」
紫の上は音楽などの才能がある上に、昨今は孫宮たちの世話を引き受けているが全てに渡って行き届いている。