源氏物語
35帖若菜下
源氏:41~47 紫の上33~39 女三宮15~21 夕霧20~26
明石の君:32~38 明石女御:13~19 柏木:25~31
髭黒左大将36~42 玉鬘27~33 冷泉帝23~29
「高麗」や「唐土」の大仰な楽曲よりも、海に近い住吉大社では素朴な「東遊び」のほうが適しているからのようだ。
その多様な「楽の音」は住吉という土地柄、リズムを刻む「波の音」や海から吹いてくる「風の音」に快く響き合う。
「波の音」や「風の音」などと協奏するには、荘重なクラシックよりも軽快で耳に快い軽音楽の方がふさわしい。
高い松の梢を震わせる晩秋の「風の音」と伸びやかな「笛の音」との合奏は、他のどこで聴くよりも爽やかに響きわたる。
舞人の装束や挿頭かざしを装飾している草花などは、自然の景物と見まがうほど見事に描かれている。
今、位人臣を極めている源氏は、昔、須磨と明石で過ごしていた頃の苦難の日々を昨日のように思い出していた。