祇王・祇女・刀自の墓&清盛公供養塔
「この尼姿に免じて、これまでのことはどうぞお許し下さい。もし許して頂けますのなら、こちらでご一緒にお念仏申して、極楽浄土へお供いたしとうございます」
もし叶いませぬなら、どこへでもさ迷い歩いて倒れるまでお念仏を続け、往生の本懐を遂げるつもりでございます
涙ながらに訴えた。
仏御前の胸をつくような言葉に、祇王は、
「そこまで思いつめていられるとは夢にもおもわず、あなたをお恨みしてお念仏も乱れがちでした。でも、あなたのお姿を拝見して、日頃の恨みなどすっかり晴れてしまいました」
この世に恨みを残したままでは、来世での幸福もおぼつかないと思っていました。
でも、もう大丈夫。
私も、清らかな心で往生できます。
「私たちは、ままならぬ世の中をうらんで出家しましたが、あなたは幸福のただなかで、しかも17歳という若さで、自ら髪を下ろされました」
何と尊いお心でしょう。
「あなたこそ、私たちを極楽浄土へ導いて下さる方です。ご一緒に阿弥陀様のもとへ参りましょう」
それから、4人はおなじ庵にこもって朝夕に念仏を唱え、それぞれ往生の本懐を遂げたという。。
御白河法皇の持仏堂であった長講堂の過去帳に、「祇王・祇女・仏・刀自」の連名で書き留められている。(完)
…… …… ……
この挿話が、どれほど一代の英傑・平清盛のイメージと人気を落としていることか。
清盛公が気の毒でもある。
新・平家物語(一) (吉川英治歴史時代文庫)/吉川 英治
¥777
Amazon.co.jp
平 清盛 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)/著者不明
¥1,100
Amazon.co.jp
平家の群像 物語から史実へ (岩波新書)/高橋 昌明
¥777
Amazon.co.jp
↧
平家物語の群像 祇王⑩祇王・祇女・仏・刀自、往生
↧