コートダジュール
夕暮れ時に、イタリアのジェノバ駅を発車した国際列車は、コートダジュールの長い夜の闇を走り抜け、明け方の、薄明にしだいに浮かび上がるスペイン・カタロニア地方の赤茶けた岩肌を縫って、午前7時近く、バルセロナ駅に静かに滑り込んだ。
雪が舞っていた。
吉備三太郎は、ジェノバからずっと五十恰好のトレドに住むというスペイン人夫妻と、同じコンパートメントに乗り合わせていた。
車窓に目をやった奥さんが、顔に喜色をたたえ、まだ目の覚めきらない夫の肩をつついた。
そして二人で、大きなジェスチャーをまじえ、子供のようにはしゃいでいる。
窓の外に、雪が降っているからだ。
一月とはいえ、温暖なカタロニア地方では、近年にないことという。
トレド行きへの列車に乗り換えるスペイン人夫妻と再会を約して別れた三太郎は、駅構内のカフェーで軽い朝食をとって、雪のちらつくバルセロナの街へ出た。
今は、FCバルセロナというサッカーチームで世界に名を馳せているバルセロナは、もともと古代ローマ帝国の植民都市として発展してきた。
奈良や京都が及びもつかない長い歴史をもつ。
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▲ だて男 国際列車 (ジェノバ~バルセロナ)
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