斉藤利三の墓
父の斉藤利三より、娘のほうが後世に名を知られている。
徳川三代将軍、家光の乳母・春日局である。
父は次々に主君を変えているが、最後が明智光秀。
光秀の、男気のある人物像を示す逸話が残っている。
光秀のすぐ前は、稲葉一鉄。
性格の不一致から一鉄と喧嘩別れし、光秀に仕えた。
重用され、明智秀満とならんで筆頭家老として用いられる。
丹波平定後には、1万石の黒井城主にもなった。
そんな時、
旧主・稲葉一鉄は利三が惜しくなり、織田信長に頼みこんで取り戻そうとした。
信長は、一鉄の懇願を聞き届ける。
「光秀、利三を一鉄に返してやれ」
「一国を失うことになろうと、大切な家臣は手放せません」
「わしの命令を聞けぬのか」
「すぐれた家臣を集めなければ、上様に十分お仕えすることができません」
信長は立ち上がって、光秀の髪を掴むと床の上を引きずり回した。
廊下の柱に、光秀の頭を何度も打ちつける。
信長が刀に手をかけると、「上様、刀はいけません」。
周囲がようやく止めに入った。
この話を伝え聞いたとき、利三の胸中はいかばかりだったか。
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夢まぼろしの如く ⑯信長と光秀と斎藤利三
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