源氏物語
39帖夕霧
源氏50 紫の上42 落葉の宮(女二の宮)26
夕霧29 雲井の雁31 秋好中宮41 一条御息所47
朱雀院53 致仕大臣(頭中将)52
ろくじょう六条御息所みやすどころ
上村松園筆 炎
東京国立博物館所蔵
六条御息所は
元東宮妃で全てに恵まれた才色兼備の貴婦人。
主要な女君たちのうち最年長で、源氏より7歳年長。
嫉妬深く、
「生霊」が源氏の正妻・葵の上と愛人・夕顔をとり殺した。
死後、「死霊」が紫の上と女三の宮を死の寸前まで苦しめる。
昼の加持が終わって律師が一人で陀羅尼を読んでいる時、一条御息所の容態が良さそうなので、
「大日如来が嘘を仰らないなら、どうして拙僧が精魂こめてお勤めする御修法に効験の現れないことがありましょうか。
悪霊は執念深いと思いがちですが、要するに業障につきまとう儚いものでございます」
しゃがれ声で堅苦しいことを重々しく述べたあと、不意に、
「夕霧の君は、いつ頃から落葉の宮にお通いなのでございますか」
一条御息所、
「いや、通うなどと、二人はそのような関係ではございません。
故大納言(柏木)が臨終の際、仲の良い夕霧の君にわたしどもの面倒を見て欲しいと頼んでいたのです。
それゆえ夕霧の君はその遺言に従って、ここ数年、折につけてお越し下さっておられます。
昨晩も、わざわざ患っているわたしをお見舞い下さいました。
いつも、有り難いと思っております」
律師、
「いや、それはおかしい。
今さら私にお隠しになることもございますまい。
今朝、参上しました折に西の妻戸から立派な身なりの男性が出てこられました。
霧が深くて誰かよく分かりませんでしたが、後刻、弟子の法師どもが、
『今朝方、夕霧の君がお帰りになった』
とか、
『昨夜、従者たちを帰してご自分はこちらにお泊まりになった』などと噂しあっておりました。
名作映画案内101
原題*BLUE VALENTINE
ブルーバレンタイン
2010年アメリカ公開
監督*デアン・シアンフランス
主演*ライアン・コズリンク/ディーン・ペレイラ(夫)
ミシェル・ウィリアムズ/シンディ・ヘラー(妻)
★
デイーンにはシンディのみが生きる目的だが
家庭の外にも人生の目的が欲しい妻は
夫の気持ちがいささか鬱陶しい。
妻を愛することで人生を完結している夫は
外の世界へ踏み出そうとしないのだ。
すれちがう夫婦
の今と、出会ってから恋に
落ちて結ばれるまでの夢と希望
の日々がカットバックで描かれて--。
112分
「愛するとは決して互いに見つめ合うことではなく、
一緒に同じ方向を見ることだ」
サン=テグジュペリ