源氏物語
35帖若菜下
源氏41~47 紫の上33~39 女三宮15~21 夕霧20~26
明石の君32~38 柏木:25~31 明石女御13~19 冷泉帝23~29
上村松園筆 炎 六条御息所
東京国立博物館所蔵
六条御息所は元東宮妃であり
すべてに恵まれた才色兼備の貴婦人。
主要な女君のうち最年長で源氏より七歳年長。
嫉妬深く、
「生霊」が源氏の正妻葵の上と愛人夕顔をとり殺した。
死後、「死霊」が紫の上を死の寸前まで苦しめる。
源氏の養女秋好中宮は六条御息所の娘。
六条御息所の死霊が憑りついた少女、
「数カ月にわたって紫の上に憑りついていましたが、紫の上を憎いと思ったことはございません。
源氏の君は神仏のご加護がとても強く、どうしてもお側近くに寄れなかったのです。
お声がかすかに聞こえてくるのみでした。
どうか、娘の秋好中宮にお伝えください。
『決して母のように他人と争ったり憎んだり妬んだりしないように』と」
源氏は物の怪と話すことに嫌気がさして、よりましの少女を一室に閉じ込め、紫の上を別の部屋に移した。
紫の上が亡くなったという風評がすでに都中に広がっているようで、弔問客が次々に【二条院】を訪れた。
源氏にしてみれば、これ以上不吉なことはない。
葵祭で行われる行列の見物に出かけていた上達部たちは帰りがけに、「紫の上、逝去」のうわさを耳にした。
「都でもっとも幸せな方が亡くなられたので、一日中、しとしと雨が降りつづくのだな」
名作映画案内⑭
髪結いの亭主
1990年公開
監督・脚本*パトリス・ルコント
主演*ジャン・ロシュフォール(アントワーヌ)
アンナ・ガリエナ(マチルド)
☆
小太りの女性理髪師に恋をしたアントワーヌ少年
の「将来の夢」は女性理髪師の夫になることだった。
成人後、
とある理髪店に入ると美人理髪師(マチルド)がいた。
唐突にプロポーズするも当然のごとく無視されるが
3か月後に再び求婚すると、なぜか承諾される。
来客中は、ソファに座って妻の仕事ぶりを眺め
ているが、時に自己流のダンスを始める。
理髪店は客がいないときは密室にな
り濃密なエロスの空間となった。
その日も
マチルドは最後の客を見送ると
店のカギをかけ夫の太股に跨った。
しかし恍惚とした表情を見せるや否や
外に飛び出して土砂降りの中を駆けだす。
メモが残っていた。
結末が衝撃的だけど余韻が残ります。